自分の指を見張る。僕のポリコレ。
昨年、遠い親戚のある方を、僕が医者として最期を看取りました。親戚なので、僕も通夜に参列しました。その時、集まったその方の家族に、何故死に至ったのか、医者として誠実に説明しました。
その時、自分では全く気がついていませんでしたが、息子からこう言われたのです。
「人に説明するとき人を指さす癖は止めた方がいい」と。僕は驚きました。自分がそんなことをしているのに気がついていなかったんです。それ以来、自分の指を見張りながら毎日を過ごしてみると、一つのことに気がつきました。
確かに人を指差しているのです。しかも医者の顔、親の顔をしているときには、その癖が出てくるのです。
相手との力関係の中で、自分が優位になっていると、無自覚であっても感じたときにその癖は出てくるのです。僕は息子に指摘されるまで、そんな無自覚な自分の素振りに気がついてなかったのです。
僕はその日から、自分の指を見張り続けています。僕にとってのポリコレとはこんなプライベートな事ですが、きっとこれが社会に繋がると思ったんです。
「The personal is political ー 個人的なことは政治的なこと」*
実感した最近の僕でした。「言葉を見張り、指を見張る」窮屈かもしれませんが、戒めて納めた指先に何か見えると僕は信じられるようになりました。そして息子達の世代はきっと僕が窮屈に感じることを乗り越える力を持っていると、素直に感心したのです。
*フェミニズムのスローガン。男女関係や夫婦関係と行った個人の抱える悩みや苦しみは、男性社会の中で政治的に押しつけられたものである、とする。政治を、個人のパーソナルな関係における非対称な権力関係と見なす見方(上野千鶴子、2020)。
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