新型コロナウイルスの嵐の中で 2021年5月の近況
2020年の年末に、新型コロナウイルス感染の患者の診察をするようになりました。自宅でそのまま亡くなる方、回復していく方を時々診察する程度でした。
しかし、この2021年の4月下旬からは、どの病院、診療所からも診察を拒否された患者が現れるようになり、保健所から直接自分の携帯電話に連絡できるようにしました。するとほぼ毎日のように、連絡が来るようになりました。
既にPCR検査で、新型コロナウイルス陽性と診断された方は、それ以降の療養でも病院に受診するだけでも相当大変でしょう。また受け入れる病院も準備が大変でしょう。
全ての人達が苦しんでいるのではなくて、普段服用していた薬がなくなってしまった、食欲がないといった診察して5分以内に終わる話もほとんどです。特に連休中はどの病院、診療所も閉まっており、かかりつけ医と連絡が取れない方もほとんどでした。
「かかりつけ医なら休まずに患者を診ろ」というのは正論ですが、僕はそうは思いません。時間もあったし、家まで行ってついでに見ておきました。薬出しておきました、点滴しておきましたと、書類をかかりつけ医に送りました。こういうときに地域に自分を売り込むことこそ、開業医(個人事業主)のセルフブランディングです。
別に恩を売るわけでもお礼が言われたいわけでもありません。必要な患者の診察の帰り道に、もう一軒寄ったくらいのことです。
しかし、もうこの1週間は状況が悪化してきて、酸素が必要でも入院できない、施設クラスタ発生のマネジメントまで一人でやるようになりました。今までやったことのない仕事を、大変ではありますが、どこか楽しみながらやっています。職員や家族といった、現場で困っている人達を支え、励ましながら仕事をするのは、大変ですが、どこか楽しいものです。
この2週間で自分の仕事も一変しました。まだ死亡する方はおらず、皆回復しているのでよいのですが、きっとこれからはそういうわけにはいかないでしょう。ワクチン接種も本格的に始まります。コロナ一色の数ヶ月は間違いなく、今が自分のリミッターを外すときと思い休まずに働き続けています。
では、皆さんも本来の仕事を続けて下さい。今僕は本来の仕事をしている実感があり大変ですがどこか充実しています。自分が時代の時の一部になり、そして未来に向かっている感覚を確かに感じています。今の状況をどうか無事にくぐり抜けましょう。
今必要なのは怒りではなく、また強靱な義務感でもなく、微笑みながら「やれやれ」と仕事に向かう、温厚な情熱なのです。
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