« 「もやもやちゃん」を超えて Beyond the moyamoya. | トップページ | 新型コロナウイルスの嵐の中で 2021年5月の近況 »

2021年3月22日 (月)

介護保険施設の職員の離職問題を解決するには

同僚の医師から、介護保険施設の職員の離職問題についてどう考えたらよいかという相談を受けました。
私は、1)賃金、2)労働時間、そして3)ファクターXと答えました。経営者は、金と時間の話しにして何とか物事を解決しようとしますが、このファクターXが一番重要です。
生き甲斐、やりがいといったことなのですが、仕事を通じて幸福になりたい、自分が成長したい、他人の幸福に関わりたいというのがファクターXです。言葉にすると簡単な話ですが、実際このファクターXを可視化してしかも、働く場で充実させて行くには、相当な技術と訓練を必要とします。
組織マネジメントを学び、研修を受け、管理職も現場の介護食もそれぞれの仕事に対する考え方を学ばなくてはファクターXは全く現実の世界に現れてきません。認識されないファクターXはいつまでも、幻影のように経営者の脳裏に現れては消えていきます。
ファクターXは医療や介護の研修を繰り返しても全く現れては来ません。もっと異なる研修を定期的に行わなくてはならないのです。
ファクターXが可視化された職場では、離職はある程度減りますが、やはり人は辞めていきます。しかし辞めた人のその組織での立ち位置や役割が、直ぐに新しい人に取って代わり新たな形に再生します。そして、新しい人が入ってきます。
AKB48も卒業者が出ても直ぐに新しく人が入り、そしてセンターに誰かが着いていきますしそれぞれのポジションに人がスライドして新しく再生します。
離職を予防する方策を講じたとき、離職が続いても、組織は新しく形を変えいつも新鮮で、そして発展していきます。それが目指す所なんだと思います。
人が辞めないように賃金を上げ、労働時間を減らすだけでは足りません。ファクターXの充実を図り、さらにはどれだけ人が辞めても大丈夫な組織作りをするのが大切だと思うのです。
私だっていつか「しんじょう医院」という職場を卒業するかもしれません。でも、私の地域の立ち位置は直ぐに誰か新しい人が変わってくれるでしょう。この地域の医療者が健全なファクターXをもった組織なら。

|

« 「もやもやちゃん」を超えて Beyond the moyamoya. | トップページ | 新型コロナウイルスの嵐の中で 2021年5月の近況 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。