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2019年7月 5日 (金)

息子の気持ちを飲んでいます(がん患者の民間療法について コラム)

私が、大学を卒業する前、医学部のある宿題で、自分で自由に選んだ病院の見学をしてくることという課題がありました。

たまたま週刊誌で見かけた「みるみる癌が消える!奇跡の病院」のようなタイトルの記事がありました。数人のグループでその怪しい記事を読み、こういう病院は一体どういうところなんだろうと、半ばインチキを見抜く好奇心で胸をふくらませながら、直接病院に連絡し「見学をしたい」と申し込みました。これから医者になる医学生をその病院は歓迎してくれました。

そして見学に行くとごく普通の病院でしたが、患者達は不思議な薬を飲んでいるようでした。ある程度の費用もかかっているようでしたが、その病院の患者達は、どこか迷いのない満たされた顔をしていました。

「ああ、きっとこの病院の医師に洗脳され、価値のない薬を飲んでいるんだな」と患者達を憐れみました。そして、患者達一人一人にインタビューをしました。その時にある患者から言われました。

「この薬に効き目があるのかどうかは分からない、でも息子が勧めてくれたこの病院に来て、今私は満足している。この薬は薬ではなく息子の気持ちなんです。私は息子の気持ちを飲んで癌を克服しようと思っているのです」と。

医療の多面さと、薬の効能の別の観点を教えられました。その時の驚きから、まず患者自身の人生の背景に強い好奇心を抱くようになったのです。

 

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