死亡診断書(自分で印刷したもの)の扱いについて
最近、自分の勤務地の役所より、電子カルテから印刷した死亡診断書について、色々と指導を受けました。その内容は全て根拠のないものであることが分かり、文書でやり取りをし、最終的には当方の意見を役所に受け容れて頂きました。他地域、他職場でも様々な誤った運用もあると聞き及んでおり、記録として残します。
まず大原則として、「死亡診断書は、PCで出力してよい。手書きでなくても良い」ことを法務省、厚生労働省より確認しております。

当院の運用は、役所から入手したA3の死亡届/死亡診断書の用紙を未記入のもの、電子カルテ(セコム・ユビキタス)から、レーザプリンタから印刷したA4の用紙に、手書き署名無し、捺印(シャチハタ)し、遺族に渡しています。しかし、死亡届/死亡診断書の用紙を渡さなくても良く、その場合は遺族が葬儀社、役所から入手します。
まず基本的な知識として、現在のA3の死亡届/死亡診断書の用紙は、死亡届が戸籍法、死亡診断書は医師法を根拠にした二つの書類が一つになった書類です。死亡届は法務省の、死亡診断書は厚生労働省の管轄です。
そして、病院、診療所が電子カルテや、医師会の死亡診断書作成ソフトを使用し、A4にプリンタで印刷し、A3の死亡届/死亡診断書に添付して良い。厚生労働省の平成30年度版死亡診断書作成マニュアルにも、医師会の死亡診断書作成ソフトが紹介されています。
厚生労働省(厚生労働省医政局医事課企画法令係)に、「死亡診断書は、PCで出力してよい。手書きでなくても良い」「A4に印刷し添付して良い」事を確認しました。
ただ、神戸市役所の担当者より、「死亡届/死亡診断書は150年保存と内規がある。PCで印刷した用紙は貼り付いてしまう・・・」との個人的な意見がありました。
当院が役所より指摘されたことと、その対処について
全て法務省、神戸地方法務局に確認済み。
(役所)死亡届(遺族が書く左側のところ)は書き損じた場合、医院で必ず回収してください。
(答え)否、その通知、根拠はない。ただし、死亡診断書を医師が手書きした場合は、再発行する必要がある。別にA4で死亡診断書を作成し渡した場合には、書き損じたA3の死亡届/死亡診断書を回収する必要は一切ない。
(役所) 死亡届の用紙は医療機関にしか渡しません。
(答え)否、その通知、根拠はない。
大阪市、札幌市は、ホームページでダウンロードして入手できる。ただしA3に印刷するように指定されている。A42枚に印刷して提出することはできない。市民(住民)が誰でも、自分で役所から受け取ることができる。遺族のみならず、葬儀社など業者、病院、診療所の事務員でも誰でも受け取ることができる。
(役所)PCで作成した死亡診断書は死亡届に、「貼り付けて」提出、できたら「割り印」をしてください。
(答え)否、その通知、根拠はない。A3の死亡届/死亡診断書の用紙に、PCで出力した死亡診断書を貼り付ける必要はない。
参考文献
荒木 文明 (著), 菅 弘美 (著) 戸籍のためのQ&A「死亡届」のすべて 日本加除出版 (2013/10/1)
厚生労働省 平成30年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル [http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/ 平成30年6月14日アクセス]
(印刷用の死亡診断書(A4)のPDFファイルもダウンロード可能)
外務省 戸籍・国籍関係届の届出について [https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/koseki/pdfs/14sibou.pdf 平成30年6月14日アクセス]
(海外の日本人向けの外務省のサイト。日本で使用しているほとんどの書類がダウンロードできる)
札幌市役所 申請書・届出書ダウンロードサービス http://www3.city.sapporo.jp/download/shinsei/search/procedure_view.asp?ProcID=340
(札幌市のホームページ。死亡届/死亡診断書の用紙をダウンロードできる)
日本医師会ORCA管理機構 DiedAi死亡診断書(死体検案書)策榮ソフト [https://www.orca.med.or.jp/diedai/index.html 平成30年6月14日アクセス]
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