あとどのくらい生きられるか? (予後予測)
あとどのくらい生きられるか? (予後予測)
家族B
「あと妻はどのくらい生きられますか?本当は聞くのは怖いんですが、やっぱりこれから考えなくてはならないことがあります。どうか教えて下さい。」
患者A
「僕はあとどのくらい生きられますか?最期に家族に伝えなくてはならないことがあるんです。」
予後予測はケアや治療の内容、患者、家族への助言の根本となる重要な作業である。
予後予測に関する現在までの研究は主に、「どのように医療者は予後を予測するか」と、 [6]「どのように予後を患者と医療者は話しあうか」[7]という研究に大別される。しかし、看取りのケアで要求される予後予測とは、「いつから看取りを前提としたケアを始めるか」わかることで、特に最後の1週間が判断できることである。
リバプールケアパスウェイでも、「亡くなることを診断する」事の重要性が強調されている。[8]またその方法としては、特殊な検査を要する方法ではなく、身体所見や日常活動を参考にする。[9,10](表1,2)また予後は人によって差があることから、医療者は、家族に幅をもって説明した方がよい。[11,12](例:
「今までの経験では、この状態だと1-2週間です。でも人によってずいぶん時間には差があります。」)予後予測は、看取りに間に合いたい、立ち会いたいと考える家族にとっても非常に重要な情報で、医療者は患者の状態から判断して家族に助言を与えるべきである。[12]
(例: 「今晩は病院にとどまっている方がよいと思います。」、「今週のうちに会いたい方に会わせてあげて下さい。」)
表1 亡くなることを診断する所見 [8]
下記の2項目以上を満たし、かつ予後が1週間前後と予測される
・寝たきり状態
・半昏睡/意識低下
・ごく少量の水分しか口にできない
・錠剤の内服ができない
表2 亡くなる直前にあらわれる身体所見[9](文献9より改変引用)
徴候 |
特徴 |
死亡前に徴候が現れた時間 平均/中央値 (標準偏差) |
死前喘鳴 |
咽頭部でごろごろと音を立てながら呼吸をすること。吸引しても痰や唾液が多くひけるとは限らず、かえって吸引が患者の苦痛を高める。 |
57 /23 時間前 (82) |
下顎呼吸 |
呼吸と共に,下顎が動く呼吸の仕方。聴診では胸部から呼吸音がほとんど聴取されないことが多い。 |
7.6/2.5 時間前 (18) |
四肢のチアノーゼ |
四肢末端から,循環不全を示す色調の変化がみられること。 |
5.1/1.0 時間前 (11) |
橈骨動脈の脈拍が触知できない |
循環不全の結果,血圧が低下し,手関節部での脈を触知できなくなること。このような時でも頚部や鼠径部の脈拍を触知できることもある。 |
2.6/1.0 時間前 (4.2) |
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