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2012年9月 1日 (土)

今どきの在宅医療9 友達からの救済メール ~祝福の微笑みと握手

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先日患者さんのお宅で相談を受けました。「私が癌になってから、新興宗教の友達から相当メールが来る。どうしたらよい?あなたを助けることが私にはできるとメッセージが来るの」と。「でも、何だか返事をしたくないのよね」と続きます。他人をコントロールしたいという欲望が強い方は、特に病者に近づいてきます。本人も善行をなしているという実感があるので、自分の行為に全くの疑いをもちません。洗脳というのは、他人をコントロールするための術ですが、さらに恐ろしいのは、他人を洗脳するための方法を洗脳者は伝授することです。

こうして他人をコントロールする洗脳はネズミ講のように伝播していきます。でも、内田樹先生の話す『「善」と「悪」を隔てるおそらく唯一の指標は「善は固有名に宛ててられる」が「邪悪なもの」からのメッセージは「不特定多数にばらまかれる」ということです。』ことを多くの人達は本能的に悟ります。案外人は(病者は)瞬間的に善と悪を見抜く力があります。僕は、彼らがマインドコントロールされないように善行をなすように絶えず努力しなくてはなりません。それには一つの場所に留まり続けない事、簡単な二極化される世界観に回収されないこと、このことをあらためて誓いました。

今、緩和ケアで培った様々な事から一度離れるのも、今流布されている様々な言説を疑い続けるのも、そういう意味があるとしっかり自覚しました。ツイッターっていいですね。一つの言葉を引き受けると色んな事が自分の中で拡張されていきます。

ところで、最初に相談を受けた患者さんには、「この方はあなたを支配しようとしている。だから近づいてはいけません」と話しました。そして、昨日の話「ご家族や周りの本当に大切な友人がどうしてこんなに親切なのかと負担に思うこともあるかもしれません。でも彼らには神様仏様が入ってしまったんです」という話に続くのでした。この患者さんに祝福あれ。そして僕のメッセージが祝福になりますように。診療の最後は祝福で終わる必要があります。ですから「また会いましょうね。大丈夫です、うまく暮らしていますよ」といつも患者さんとは微笑みながら握手します。

祝福の方法は、とんちの利いた言葉ではありません。微笑みと握手の中に宿ると信じています。

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