症例の相談
どなたかお知恵をお貸し下さい。現在診療している方です。
本症例は複数の医療機関にコンサルトの後、「リウマチ性多発筋痛症」と診断しました。NSAIDsの投与のみで、状態が改善しております。色んなコメントいただきまして本当にありがとうございました。
89歳 女性
主訴 発熱、関節痛
既往歴 アルツハイマー型認知症(10年前より)、高血圧、2型糖尿病(20年前より)
<感染症>
HBS(-)、HCV(-)、Wa(-)
10年以上前から、認知機能の低下はあり。20年近くのDMあり。去年までは室内を杖歩行する程度で、病院の外来受診もできていた。
今年の1月に右足指が腫脹、発赤し皮膚科を受診した。その時は白癬といわれ、外用薬を処方された。2月に頚部の痛みがあり、整形外科で診察を受け、頸椎カラーの処置を受けたが、軽快せず、その後から発熱し、A病院へ入院した。
上下肢の疼痛も発熱とともに認めていたが、精査(含、整形外科診、心エコー)にて原因はわからず。抗生剤投与等にて病状は軽快し、上下肢痛も消失した。しかし3月にも同様の病態となり、入院にて抗生剤治療を実施。やがて軽快し、同月19日に退院となった。これらの入院によりADLは著明に低下し、もともと室内歩行可能であったが退院時にはほぼ寝たきりとなっている。その後の在宅療養に向け、当院紹介となった。
<訪問診療開始後の経過>
2012年3月26日に発熱、下肢痛あり、ご家族より当院に緊急往診の依頼あ
り。同日より抗生剤治療(クラビット×5日)を実施。その後発熱の頻度
は減少。しかし時折、発熱+関節痛の発作は見られる。仙骨部、右踵部
の褥創は創傷被覆材使用、マット変更等にて軽快傾向にあり。
身体所見
項部硬直、Kernig徴候あり。
連日微熱が続いている。
項部硬直、膝、手関節の他動運動で痛みが強い。
収縮期血圧 108 mmHg
拡張期血圧 60 mmHg
脈拍 58 回/分
<特記すべき検査所見>
2012年4月5日採血
ALB 2.8↓と低アルブミン血症あり
BUN 47.4↑、Cr 1.29↑と腎機能障害の疑いあり
K 5.0↑と軽度高カリウム血症あり
BS 261↑
WBC 10500↑、CRP 20.86↑と強い炎症所見あり
RBC 321↓、Hb 9.1↓より貧血あり
投与中の薬剤
RP01 【般】アムロジピン錠5mg(ノルバスク 錠5mg) 1 錠
内服:分1 朝食後
RP02 ニューロタン錠25mg 2 錠
内服:分1 朝食後
RP03 【般】ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠5m
g(アリセプトD錠5mg) 1 錠
内服:分1 朝食後
RP04 エンシュア・リキッド 750 mL
内服:分3 14 日分
北海道、海外の渡航歴なし。
この冬に先行する感冒症状なし。
現在も、左足に刺し傷のような創がある。原因は不明。
確定診断に至らず、対症療法のみで対応中です。どなたかお知恵をコメント欄にお願い致します。
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