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2011年1月20日 (木)

バイオリン職人

いつも東京に出張へ行くと決まってバイオリンを持っていき町田の工房へ持っていく。ここの職人さんがすばらしい。初めて紹介されお会いしたときも「どんな音がいいの?」と一言。どんな音って聴かれると改めてわからなかった。
指使い(運指)弓の使い方と言った演奏の技術は習うことができるが、今までの師匠は楽器の手入れ、弦の張り方、楽器に合う弦の選び方、自分の出したい音の言語的表現を教えてもらえてなかったことに気がつく。
「出したい音ってどんなことですか?」と聞いたら、「自分が気持ちいい音か、5m先の人が気持ちいい音か、30m先の人が気持ちのいい音か」とか全く想像しなかった言葉が並ぶ。そして、「やっぱりアマチュアなので自分が気持ちいいので」と伝えると、じゃあ、この弦がいいなと独り言。
今まで自分で普通に弦を張り替えていたが、「君が弦を変えるといまいちだなあ。」とその職人さんに言われた。確かにその人が張り替えると全くちがう。楽器の弾き方の師匠だけでなく、楽器の手入れ、性能を高める師匠に出会えました。
この弦がいいなと、最近張り替えたのはThomastikのInfeld(Peter)。それまで使っていたEvah Pirazziから張り替えた。肩当ても「これはどう」とか肩当てで音が変わることを説明される。どの弦はどういう性格かインターネットで検索してもわかりにくい。「ぎらぎらした」とかそういう表現程度でどの弦を張ればどんな音がするのか、予測がつかない。また多くの人に聞いても「なんでその弦使っているの」って聴いてもアマチュアだからか、あまり理由はない。
楽器を扱う職人に出会えて、またバイオリンの楽しさは深まりました。また自分の身体は自分の楽器のクセを本能的に記憶していて、出にくい音、トーンの違いを敏感に記憶している。その職人さんはそういう「本当はない方がよいクセ」も見抜き調整してくれる。いつもお世話になっております。

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