一人になりたい時間
今日患者さんと話していて気がついた。彼女は自宅で一人暮らし。できるだけ一人で暮らしたい。家族は遠方。列車で3時間先。治療は放射線治療、化学療法は遠方で、そして、日々の事は緩和ケア病棟のある僕のところに通っていた。そして年末息苦しくなって入院してしまった。
彼女にとって、自宅は一人のペースで生きていけるホッとできるところ。遠方のお子さん宅もかわいいお孫さんがいて楽しいけどやっぱり疲れる。一人で生きていくのがよいか、家族の元へ行くのかずっと悩みながら過ごしてきた。
彼女と話していて気がついた。お子さん宅に行っても、一日1-2時間周りを遮断して一人になる時間を作らせて欲しいとお子さん一家に話したらどうだろうか。小さなお孫さんにもそのことをわかってもらって。その一人の時間に何を考えるでもない。無理に何かを考えようとせずただ一人静かに目をつむり時には居眠りして。その時間がきっとエネルギーをくれると思いますよと話しあう。自宅では一人なので、毎日自由な時間。その時間をうまく作ったらどうだろうかって話しあう。
その時間は恐らく瞑想にも似た時間。そんな時間は前にもツイートしたが、自分にもある。通勤のクルマの中。往復1時間の時。その時間にアイデアや考えがまとまる大切な時間。原稿の構想や、論文の込み入ったところをクリアにするのにまた、家族のこれからや自分の将来を。
自分には当てはまらないけど、お風呂の時間や、トイレの中でいろんなアイデアが湧くのも分かる。周りの世界と隔絶された時、心は鎮まり、新しいエネルギーを得る。瞑想というと難しく聞こえるけど誰でもこんな時間があると思う。
世界と隔絶できない一番つらい状況は、子供の小さい主婦。妻も小さな子供達をかわいいと思いつつも一人の時間を大切にしている。子供達にも「今から1時間はママを一人にする大切な時間よ」と教えるようにしよう。さりげなく公園に連れ出すだけでなく。
「一人にして!一人になりたい!」というと家族に、自分に気を遣ってくれ、放っておいてくれとネガティブなメッセージが伝わる。だから、「毎日、1時間だけ一人で静かにする時間が必要なの」と家族に伝える。大切な時間は、自分の回復と癒しのため。みなさんもどうですか?
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