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2010年7月 3日 (土)

とある研修で。音楽家の苦悩とは。

前回ご紹介した方にも関することで、音楽家の苦悩についてです。

とある緩和ケア研修での一コマ。仮想症例には「コーラスグループができなくなり・・・」とあった。参加者は「こういう状態なら趣味は仕方ない」と。また他の参加者は「車椅子に乗ってでも参加する方法はないか」とか。

別の方は「趣味ができなくなることはつらいよね。また歌えるにはどうしたらよいか」とか。僕は経験から思った。『音楽をしている人は、楽器が弾けなくなったり、歌えなくなったとき無理にやらされると、かえってつらい。自分が喪失したものに向き合わされる。』って。

「音楽ができなくなったこと」のつらさよりも、ずっと「自分が元気だったときと同じパフォーマンスができないこと」のつらさの方がずっと上回る。それは複数の音楽家の患者さんから学んだ。医療者の想像を超えた思いを、病人は感じている。健康な頭で考えたアイデアにおぼれぬよう。

もちろんこの研修では、この症例はがん疼痛をどう評価しどう治療するかの内容だったので致し方ありませんが、自分にとっては疼痛よりもこちらが気になっていました。

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