車の運転
麻薬を使って、がんの痛みをとめながらどうやったら堂々と車の運転ができるのでしょうか。
最近複数の患者さんから尋ねられました。
自己を見失うほどの危険がないことは分かっていても、やはり研究の結果でも反射神経や高度な知的活動はどうやら低下することは確かな様子。
緩和ケアと言えば生活の向上ですが、やはり車以外に移動の手段を持たない人たちからすれば、痛みをとめれば不自由がある。
益と害とをいつも引き受けなくてはならないのが、化学療法でも緩和医療でも同じ宿命ですが、それは健康者の人生も同じかもしれません。益はいつの間にか忘れ、得られた益は当たり前の日常に埋没していく。害はいつまでも気になり目の前の邪魔な存在として、日々ますますその存在感を増していく。
車の運転ができない代わりに痛みが止まるとしたら、やっぱり痛みが止まることを全ての人が望むのだろうか。何かしらよい方法がないかと思案する今日この頃。「規則は守る」という真面目な人ほど厄介で、「細かいことは気にしない」人は楽なのかもしれないですね。
校則は破れても、世間の常識や通念はなかなか破れない・・・
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