2020年11月 8日 (日)

僕の好きだった彼女「死を憧れていた彼女」

彼女は最初逢ったときから、気になることを言っていた。「人間が死ぬことは自分の意思でどうにでもできることなのよ」と、死に対する憧れを話していた。 「ねえ、この本読んだ?この本の主人公はとっても美しい死に方するわよね。少しずつ身体と魂が透明になっていく感じがいいわ」 いつも彼女は家に帰ろうとしなかった。家には自分の居場所がなく、遅い時間まで広い公園や、自分の通院している名古屋の病院の大きな待合室の片隅...

» 続きを読む

| | コメント (0)

フードフォトグラファー新城からのメッセージ「時間を超えること」

皆さんこんにちはフードジャーナリストの新城拓也です。前回よりしばらくの内観の時間をいただき、さらに食と写真についての構想を練っておりました。ここにまた皆さんにお伝えしたい事があります。 さて、一部で私の文章の展開が長すぎて、一度流したら水が止まらない、壊れた水洗トイレのようだという指摘を頂きました。それには反論したいと思います。何故なら、やまない雨はない、止まらない水洗トイレはないと言う、物理学的...

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年11月 7日 (土)

僕の好きだった彼女 「夢の中の夢」

ああ、しばらく僕は眠ってしまっていたらしい。門限が過ぎたはずの彼女はまだそこにいた。 どうやら終電に間に合わなかったらしい。始発までの間、まだ一緒にいることができるのだと僕は、神か仏がくれたらしいこのチャンスを、必ずものにしなくてはと、眠気で動かない体を起こそうとした。 その時だ。自分の体の感覚が以前とは違うのに気がついた。目は見えにくく、小さな字が読みにくい事に気がついた。ガラスに写る自分の姿は...

» 続きを読む

| | コメント (0)

フードフォトグラファー新城からのメッセージ「物事には手順がある」

こんにちは、フードフォトグラファーの新城です。 今回は、「物事には順序がある」という大切な事を、皆さんに伝えなくてはなりません。というのは、かねてより私は、子供の頃からどうしても、解く事ができない問いがあるのです。それは、「ラーメンに入ったメンマの、食べる手順」の事なんです。 どんなラーメンにも入っていることの多いメンマですが、その調理について、本当に幼い頃から、どう食べたら美味しくなるのか、考え...

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年11月 6日 (金)

フードフォトグラファー新城からのメッセージ「人生最後の晩餐の質問は大嫌い」

フードフォトグラファーの新城です。 いちいち目につく軽い記事に噛みつかなくても良いではないかと思うのだが、どうしても自分が専門分野としている、医療哲学に関わる事には、黙っていられないのが人間の性である。 一般的な事よりも、一つ上の事を言って相手を唸らせたいと思うのもまた、人間の性というより私の承認欲求から生じる煩悩でもあろう。 ここに告白すると、私は「明日が人生最後の日としたら、最後に何を食べます...

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年11月 5日 (木)

僕の好きだった彼女「体を重ねることって」

僕が18歳との時、初めての女性の感触に夢中になった。一つ年下のガールフレンドは、クリスマスイブの夜に、どちらから誘ったわけではないのに、とても自然に一つのベッドの中にいた。 僕はどう行為を進めて良いのか分からず、じっとしているだけだった。僕の知識はせいぜいポルノビデオで、力強い男がただ女をねじ伏せて、やがて女は官能にいたるそんな筋書きばかりだった。 自分にはそんな力強さもなく、またねじ伏せるような...

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年11月 4日 (水)

フードフォトグラファー新城からのメッセージ「担々麺の写真は難しい」

皆さん、良い週末をお過ごしでしょうか。まとまって集中する時間をなかなか取れない、フードフォトグラファーの新城です。今、阪急電車に揺られながら集中でき、やっと皆さんに、世界の真理についてお知らせする機会を得ることができましたのでお伝えします。 さて、フードフォトグラファーにとって、いや正確には日本で暮らし日本語を使う日本国籍の日本人にとって、どのような食べ物の写真が、題材として一番難しいかご存知でし...

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年11月 3日 (火)

僕の好きだった彼女「曇った窓硝子」

シャワーを浴びた彼女は、火照った体で寝室の窓硝子を曇らせながら、僕をベットに誘った。 恥ずかしそうに手で顔を隠していたが、「この臆病者め」と口調は潔く、その迫力に僕は一瞬迷い躊躇してしまった。 その時だった。安っぽいキッチンタイマーのような音が辺りに鳴り出した。その音に二人は現実に戻り夢から醒めてしまった。そして彼女は、また寝返りをして僕に背を向けた。 僕はあとわずかの距離を縮めることなく、雨の中...

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年11月 2日 (月)

フードフォトグラファー新城からのメッセージ「ネコは味を確かめたいだけ』

フードフォトグラファーの新城です。今週も私に不思議な世の理を教えてくれた料理の写真を通じて、皆さんに伝えたいことがあります。 さて、世には意図しないメッセージと、意図するメッセージがあります。 まず意図しないメッセージを一番的確に歌い上げたのは、以前は兄弟で活動していたキリンジです。その歌はアルバム「ネオ」の中の「ネンネコ」という歌です。 その一節に、 'ネコは昨夜(ゆうべ)の涙 舐めてくれた だ...

» 続きを読む

| | コメント (0)

2020年11月 1日 (日)

僕の好きだった彼女

いつものように車の中で白衣を脱ぎ、まだわずかに自分に残ったエロスを確認して、彼女の部屋へ足早に向かった。 すると、彼女はいきなり僕をベッドへと誘った。それに応えようと、一歩前に出ると、僕と彼女の間には、大きな障壁がある事に気がついた。 僕ら二人が見つめ合う、絡みつくような視線を遮るものは何もないのだが、その肉体を重ねようとした瞬間に、ガラスという形而上学的な物質が、僕ら二人の逢瀬を分断していた。 ...

» 続きを読む

| | コメント (0)

«フードフォトグラファー新城からのメッセージ「タンタンのこと」